投資のCOFFEE BREAK

初心者でも分かるように投資についてゆったりとお話します。コーヒーブレイクがてらにどうぞ。

米債務上限の拡大と株価の大幅下落

米国の債務上限から今後のトレンドを読み解く

24年の12月27日、イエレン米財務長官は、連邦政府が債務上限の突破を回避するため、財務省が来年1月半ばごろから特別会計措置を取り始める公算が高いことを明らかにしました。このニュースから分かることは、米国の信用格下げの可能性とそれによる大幅な株価の下落と金価格の上昇が考えられます。今回のニュースを詳しく解説し、今後の流れも考察していきます。

特別会計措置とは

連邦政府が法律で定められた借金の債務上限に達し、これ以上借金が出来なくなった場合に、財務省が政府年金基金への投資の一時停止や州や地方自治体向けの債券発行を停止することで一時的に資金繰りを維持する救済措置を特別会計措置といいます。これにより、一定期間は、政府が新たな借り入れをしなくても既存の債務を返済し、連邦政府の支出を維持することが可能になります。

25年1月に特別会計措置開始の意味

米国の債務上限は何度も引き上げられてきましたが、現在の米国政府の債務上限額は過去最大の31.4兆ドル(約4710兆円)となっています。しかし、政府の現在の借金額が25年1月で債務上限である31.4兆ドルを達すると見込まれています。そのため、財務省は債務上限を超えないように1月半ばから特別会計措置を開始し、政府の資金繰りを維持しようとしています。※2023年6月3日、債務上限を一時的に停止する法案が成立した結果、債務上限は2025年1月1日まで適用が停止され、政府は上限を気にせず今まで新たな借金を行っていました。

米国のデフォルトの可能性

会計特別措置で作った猶予期間で債務上限を更に上げるか、債務上限の基準を引き続き一時停止のままにするかを米国議会の上院と下院で議論する必要があります。猶予期間内に案がまとまらなければ、これ以上借金が出来ないため返済能力を失います。その結果、米国はデフォルトに陥ります。ちなみに、2011年と2013年に共和党民主党の対立とねじれによって猶予期間の本当にギリギリまで成立せずデフォルトの危機に陥りました(本筋から外れるので詳細は割愛します)。その結果、格付け会社S&Pは、史上初の米国の信用格付けをAAAからAA+に引き下げた実績があります。

信用格下げによる影響

史上初の米国の信用格下げは株式市場を急落させました。格下げ発表当日にNYダウ約5.5%、S&P 500は約6.6%、ナスダック総合指数は約6.9%の大幅下落となりました。これは、債務問題がなかなか解決されないことや、格下げによってさらに景気後退リスク強まったことが原因でした。その結果、当時は最強の安全資産と考えられてた米国債に資金が流れ、株式市場からは資金が流出し大幅下落しました。

現在の信用格下げのリスク

現状の格付け機関は債務上限の案が中々まとまらない場合や、債務増加で財政の悪化に歯止めがかからない場合、現在の信用格付けAAAからの格下げもあり得ることを警告しています。現在、大統領、上院、下院ともに共和党のトリプルレッドの状態です。そのため、今回の債務上限に対する案は早期に決定されやすく、当時のような長期化によるリスクは低いと考えられます。ただし、下院の議席数は共和党220、民主党215と僅差であるため、共和党内で造反があれば危険性は高まります。ただ最近、米国のつなぎ予算の採決に下院の共和党内の造反によって否決された経緯もあるため安心は出来ません。

インフレによる財政悪化

24年12月のFOMCではパウエル議長がインフレがまだ残っているため、25年の利下げ回数を大幅に減らすと発表したことは真新しいです。インフレ継続中の現状で更に債務上限を引き上げると「インフレの加速」「財務状況の悪化」を引き起こす可能性があります。この2つのデメリットは債務増加に拍車をかけ、財政悪化の歯止めが効かなくなるため信用低下を促します。

インフレの加速

債務上限の引き上げと比例して政府の支出が増加するため、市場への資金流入がインフレを加速させる可能性があります。現に、トランプ次期大統領は米国経済の発展のため、大規模な経済や雇用対策で市場に多額の資金を提供することを発表しています。さらに、トランプ次期大統領は関税政策を取り、他国の安価な製品を制限し、米国製品を守る保護貿易を行います。それにより、安価な製品を購入しにくくなりインフレ圧力を加速させます。また、インフレが加速すれば多額の支援策が必要となり更に多くの借金が必要になります。こられの結果、雪だるま式に借金が増え財政赤字は大幅に拡大していきます。

財務状況の悪化

インフレが加速すれば、FRB政策金利を下げることが難しくなり、政策金利が高止まりすることになります。その結果、政府はより高い利息の支払いが必要になり更なる支出が増えます。また、政府だけではなくFRBを含む多くの銀行が大量に保有している低金利時の国債金利高止まりによって価値が低い状態を維持します。その結果、負債が大幅に増加し、財務状況を悪化させます。この保有債券の価値低下は最終的には金融危機に結び付くため信用問題に直結します。

今後の流れ

債務上限の案自体はトリプルレッドのため、採決の長期化による格下げは低いと考えられます。一方で、債務増加で財政の悪化に歯止めがかからない場合のリスクは十分にあるため、米国の信用格下げの可能性はあり得ます。その場合、止まらないインフレと信用不安から株価は大幅に下落することが容易に想像できます。また、前回の信用格下げ時は、当時の最強の安全資産である米国債に資金が流れ、債券価格は上昇しましたが今回は異なる動きをすると考えられます。

ゴールド価格の上昇

現在、米国債券の価格は下降トレンド(金利上昇)を継続中です。これは、現在の米国の肥大しすぎた財政赤字や米国の信用低下が原因です。そのため、現在の米国債の安全資産としての魅力は前回より相対的に低いと考えられます。そして、前回の米国債と同じ最強の安全資産は現在ゴールドと考えられます。今年は何度も史上最高値を更新しているのが証拠の1つです。なぜゴールドの詳細は下記記事をご覧ください。

 

 

現在、米国の財政赤字の増大は確定路線です。そのため、今後の1つの流れとして、インフレの加速とそれに伴う信用低下が考えられます。インフレにも強く、安全資産としての側面が強いゴールドは今後も価格が上昇していく可能性が大きいと考えられます。また、信用格下げやそれ以外の要因でも株価の下落も十分に考えられるため、ゴールドへのリバランスの検討が重要になりそうです。

 

ではでは、、