リーマンショックと現在の状況を比較する
先週、FRBによって0.5%の大幅利下げが実施されました。実はこの0.5%利下げは異例であり、これはリーマンショック直前の2007年9月に実施された0.5%の利下げを含めた史上2回目の措置になります。そして、利下げ実施から半年ほどはNYダウの株価は高水準を維持していました。今回はなぜ、リーマンショックが起こったかを簡単に説明します。
住宅バブル
2000年代初め、ITバブル崩壊などの影響で、アメリカ経済が不安定であったため、FRBは景気刺激策として低金利政策を実施しました。この低金利環境により、住宅ローン需要の大幅に増加しました。さらに、銀行等は、審査が通りにくい信用力の低い人々にもサブプライムローンで融資を行い、より多くの人が住宅を購入できるよう促したため、より需要が高まりました。また、その各住宅ローンを証券化し一種の債券(MBS)として販売され、多くの銀行や投資家に好まれポートフォリオに多く組み込まれていました。低金利とサブプライムローン、MBSが広く普及し、住宅の需要が急激に増え、住宅価格は急騰し、投機的な購入も増えバブルが始まりました。
バブルの崩壊
この時期、世界的な経済成長に伴う需要の増加、資源価格の上昇、原油価格の高騰により、インフレ率の上昇が懸念され始めました。FRBはインフレを抑制するために、2004年から金利を引き上げる政策を開始し、最終的には政策金利は5.25%まで上昇しました。住宅ローンの金利も徐々に上昇し、新規購入者の需要が減少しました。また、変動金利型のローンが多かったため、サブプライム層のローンのデフォルト(債務不履行)が増加し、住宅市場での差し押さえ物件が増加しました。つまり、差し押さえによって新たに購入できる住宅の数が急増したものの高金利により購入需要が減少したため、住宅価値は借入額を下回るほど下落させました。住宅ローンを返済する動機の低下も相まってデフォルト増加を促し住宅バブルの崩壊が起こりました。
金融機関の財務悪化
MBSのデフォルト増加により、金融機関が保有していた大量のMBSが不良債権となり大規模的に価値を失いました。不良債権の対応として金融機関が持っている資産(株、特に債券)を現金化する必要がありました。しかし、低金利時に購入していた債券も現状の高金利によって大幅に価値が低下していたため、大幅な損切りをしざる終えない状況でした。その結果、債券等の現金化では不良債権の対応に現金が足りず、コストをさらにかけて現金を手に入れる必要がありました。つまり、資産が大幅に減り、負債が増え自己資本比率などの財務状況が悪化しました。
リーマンショックの発生
財務の大幅悪化により金融機関同士の信頼が大きく損なわれました。MBSの性質上、各金融機関が他の金融機関の財務状況を把握できないため、「どこが次に破綻するか」を予測することが難しく、取引や貸し借りを躊躇し、貸し渋りが発生し、より現金が取得しにくい環境になりました。その結果、2008年9月15日、投資銀行リーマン・ブラザーズの破綻が起こりました。この破綻は、金融機関の倒産のリスクを意識させ、パニックを引き起こしました。
流動性の低下
この倒産により、他の金融機関にも資金繰りが厳しくなるとの恐れが広がり、さらに貸し渋りが加速しました。現金の流動性が著しく悪化し、債券や株を売り現金を手にいれる企業や投資家が増え売り圧力が大幅にかかりました。また、金融機関への信用の低下や、貸し渋りによる企業の成長性低下による景気後退不安がさらなる売り圧力の拍車をかけ歴史的なショックを発生させました。
今回は簡単にリーマンショックについてまとめましたが、現在と共通点が多いことにお気づきでしょうか。大きく、①低金利政策の実施とインフレの発生、②インフレ対応のための大幅な高金利政策、③各金融機関の保有債券の含み損の大幅増加 の3つがあげられます。個人的にリスク管理が重要な局面になってきていると思っています。今後は共通点についてお話しできればと思います。
ではでは