投資のCOFFEE BREAK

初心者でも分かるように投資についてゆったりとお話します。週3の更新を目指してます。コーヒーブレイクがてらにどうぞ。

どうなる?USスチール買収の行方①

全面拒否される日本製鉄のUSスチールの買収

トランプ氏が日本製鉄によるUSスチールの買収を全面的に反対することを表明。さらに、自身のSNS上では「この計画をブロックする!」、「買い手は覚悟しろ!」とかなり過激な内容とともに投稿していることからUSスチールの買収の道のりは険しくなりそうです。今回は、なぜ日本製鉄がUSスチールを買収したいのか、なぜトランプ氏に反対されるのかを中心に解説します。また、今後のストーリーに関しては次回のブログでお話しさせていただきます。

USスチールを買収したい理由

買収したい理由は日本製鉄の海外戦略が大きく関係します。鉄鋼消費国のトップ3は中国、インド、北米の順となっておりこの3国のシェアを広げることが重要になります。その中で、日本製鉄はチャイナリスクの観点から今までの中国市場の比率を下げるかわりに、北米やインドに更なる投資と成長をとる戦略をとっています。特に、北米は日本製鉄が得意とする高付加価値鋼材(特に自動車向けが得意)の需要が非常に高く、利益率も高いためドル箱市場となります。一方で、現在の米国の保護貿易により日本製鉄の製品に関税がかけられ競争力は低下しています。米国内で生産すれば関税への影響を受けず競争力と利益率を向上できます。つまり、USスチールを買収し米国で生産することは戦略の肝となります。また、既にインドでは1兆円を越える新規大規模投資を進めています。

なぜUSスチールなのか

USスチールを選んだ理由は「広い販売網と日鉄との親和性」と考えられます。USスチールアメリカの製造の象徴として1901年の創業から米国内の各有名企業と取引している実績があります。現在、USスチールは米国での業界3~4位をふらふらしていますが、昔は圧倒的なシェア誇り、国や多くの企業に高付加価値鋼材を供給してきました。特に、車体やシャーシ、エンジン部品に使われる高付加価値の鋼材は、幅広い自動車企業への供給と販売網を保有しております。日本製鉄の得意分野は高付加価値鋼材で、特に自動車向けが強いです。そのため、同じ分野かつ、多種多様な高付加価値鋼材の販売網を持つUSスチールは日本製鉄への親和性が高く魅力的になります。また、USスチールを買収することによって、世界3位の企業へ踊りでることができます。

もちろん、買収しやすくなっていることも理由の1つです。現在USスチールの老朽化した設備や生産効率の低下、環境対応への適応不足などが要因となりコスト競争力で競合他社に遅れをとっています。経営が傾き再建が必要な状況であり比較的買収しやすい状況です。ちなみに、現在、経営難によってUSスチールは、従業員や会社を維持するためには日本製鉄の買収が必須であると考えています。そのため、USスチール側は是が非でも買収されたいと主張しています。

なぜ買収を反対されるのか

USスチールの買収反対はトランプ氏およびUFW(全米鉄鋼労働者組合)が大きく反対しています。反対理由は色々あると思いますが個人的には大きく「米国内の競合他社の反発」「圧倒的な米国でのブランド力」この2つを受けトランプ氏は反対を表明せざるおえない状況だと考えています。

米国内の競合他社の反発

国内最大級の労働組合であるUFW(全米鉄鋼労働者組合)にはUSスチールと競合関係にあるArcelorMittal、Cleveland-Cliffsが加入しています。特に、Cleveland-CliffsはUFWの幹部との関係が深いと言われています。USスチールの買収にあたって日本製鉄は新型の高効率炉への置き換えや最新設備や技術を導入し生産効率と競争力向上を宣言しています。そのため、競合他社からすれば競争力が上がったUSスチールは脅威になります。自分たちのシェアを奪われないようにUFWを通して反対を表明しています。

米国でのブランド力

1901年創業のUSスチールは米国へ常に貢献してきた実績があります。急速成長や世界大戦で勝利するためにも鉄鋼の供給で大きく米国に貢献してきました。また、米国の象徴的な建物もUS スチールが多く携わっています。このことから「国家のために貢献する企業」としてのイメージが植え付けられえいます。また、US スチールは世界初の10億ドル企業となったその巨大さが「アメリカの力」を象徴していました。単なる企業の枠を超え、米国製造業の象徴としてとして捉えられているため、その象徴が米国から離れること、ましてや買収されるとなると国民感情として拒否反応が示されています。

トランプ氏の反対

トランプ氏の政権を長期化し影響力を強めるためには労働組合や国民の支持が必要不可欠です。特に、労働組合の票を得て次期大統領に選出されているため、労働組合の意向を蔑ろにすることは自身の政治への影響力を低下させることを意味します。同様に国民の多くが米国の象徴を失うことに反対を示しているのであればトランプ氏も反対しなければなりません。以上のこともあり、トランプ氏は強い反対表明をしていると考えられます。

今回は「なぜUSスチールを買収したいのか」、「なぜ反対されるのか」をメインにお話ししました。次回は上記内容をふまえて今後、どのようなストーリーに転んでいくかを考察していきたいとおもいます。

 

ではでは、、

 

ヤマダ積立預金の危うさ

財務状況から状況を判断する重要性

ヤマダホールディングスが発表したヤマダ積立預金ですが破格の利回り18%(ポイント含む)と元本保証への反響が大きく話題になっております。疑い深い私からすると何か裏があるのではないかと思い、キャンペーンの概要や特性、ヤマダの財務状況について調べていきましたので解説させていただきます。

ヤマダ積立預金とは

ヤマダネオバンク口座を開設者が月5000~50000円の積立額と期間である1年から3年を選択し積立預金することで、ポイントを含めて利回り18%以上を得ることができるキャンペーンになります。(ヤマダ積立預金の詳細開設は趣旨ではないので省きます)

ここでポイントなのは、ヤマダ電機は銀行代理として住信SBIネット銀行の口座を開設しているため、預金された現金はヤマダホールディング側は使用できないことを意味します。一方で、預金目的ではないことが分かりましたが、他に目的がないかを財務状況から考えることにしました。

ヤマダホールディングスのCF

このようなキャンペーンをする時は財務状況が怪しい可能性が考えられます。その中で、CFは半期報告書にのみ開示していました。その結果、営業CFが前年+131億円に対して今年は-59億円と大幅マイナス。さらには、財務CFも380億円以上増加していることが分かりました。特に、営業CFの大幅減少は棚卸資産の急増、つまり在庫過多により陥っていることがわかりました。

財務状況から分かること

現状のヤマダホールディングスは営業CFがないため、運転資金の獲得を目的として380億円を入手したことが分かります。ここで、ヤマダホールディングスが是が非でも実施しなければならないことは2点あります。

①将来的には380億の借入の返済が必要だが返済する現金が不足しているため、商品の購入を促し現金を手に入れる

②在庫過多なので整理する必要があるため、ポイントや値引きなどを使ってでも出来るだけ現金化する

ヤマダ積立預金のポイントの今後

①のように今回は大量の借金を返済するために現金を手に入れたい気持ちが強いため、今回のヤマダ積立預金のポイントで客を呼び込み売上をあげることが1つの目的です。言い換えれば、この目標が達成されればポイントが大幅に改悪(例えば一回で使えるポイント数や還元率の変更)されることが予想できます。そのため、長期運用は慎重になるべきと感じております。ただ、目的達成が遅れるほど改悪のタイミングは長く可能性もありますが、その場合、CFが不安定のままですので会社自体の経営が危ういことなります。

また、②の観点では多くの在庫を現金化することが目的です。そのため、今回のポイントで在庫を現金化してもらうことが狙いです。一方で、在庫過多の商品が消費者が欲しいものかは分かりません。今後、ヤマダ積立預金で得られるポイントが指定の商品(在庫過多品)のみしか適用出来ない改悪も十分にありえます。

さらなるリスク

現状のCFの状況が継続的に続けば会社の倒産もありえます。(確率は低いと思いますが、、) その場合、1000万円までは保証可能ですがポイント自体は全て使えなくなる、戻ってこなくなると考えるのが妥当です。ただ、まだ、半期報告の内容ですのでここから挽回する可能性もあります。むしろ、今回のヤマダ積立預金はまさに挽回するための一手と考えられます。

総括

現在、ヤマダホールディングスのCF状況は大幅に悪化しており、すぐに自由に使える現金がなくなった結果、運転資金のため、新たに380億円超の借金で現金を得ている状況です。借金返済の現金を補充に向け売上で現金を手に入れるため、今回のキャンペーンを起こなったと考えられます。つまり、財務状況が改善すればポイントは改悪、悪化したままだとそもそもポイントすらもらえなくなるリスクがあること。さらには、ヤマダ積立預金にお金を回している分、他の投資対象の機会損失となり相対的に損することも大いに考えられます。以上のことから、ポイントのみを目当てでヤマダ積立預金をするのは慎重になるべきと考えております。

また、有効期限が過ぎた未使用のポイントはヤマダ電機が管理し、供託金を保持しているという状況です。そのため、その供託金そのものが利益として計上されるため、会社にとっておいしい内容であることを理解しなければなりません、、

米国大統領選挙②~ハリス氏の政策~

ハリス氏の政策とその影響を考える

いよいよ米国大統領選挙が11月5日に実施されます。一大イベントが間近に迫ってきました。この結果は、各国の方針や経済成長の展望を大きく左右します。また、選挙目前でハリス氏の当選確率が急上昇したことも各社で報道され、どちらに転んでもおかしくありません。前回はトランプ氏の政策を解説しました。下記のブログに詳細を示していますのでご覧下さい。

mametmamero.hatenablog.com

今回は、ハリス氏の政策を金融、雇用と産業、外交、環境対応の観点から解説していきます。

金融

富裕層や企業への増税と金融機関の規制強化を検討しています。つまり、高所得者や企業の利益を税で回収し、社会保障政策を通じて貧困層への分配を行います。現に、富裕層への増税法人税の引き上げによって年間2,000億ドルの歳入増加を見込み、それを社会保障費などに充てる計画を発表しています。また、リーマンショックのような金融危機から消費者を守ることも目標にしています。そのため、金融機関の自己資本比率についてのバーゼル規制を強化することを検討しています。これにより金融機関による過剰な通貨の流動を抑えることを目指しています

ハリス氏の金融政策は貧困層へ支援がメインであるため企業にとっては成長を抑制する可能性があるものの、法人税や金融機関への規制は過度なインフレの抑制に繋がると考えられます。

雇用と産業

最低賃金の引き上げと労働者の保護によって格差を縮小させることを掲げています。最低賃金を時給15ドルまで引き上げ、低所得者層の収入を増加させることを宣言しています。労働組合の権利拡大や有給休暇の義務化、育児介護休暇の制度化で従業員の権利保護を方針としています。また、アメリフォワード戦略と名付けた政策により、最先端技術の支援を実施予定です。鉄鋼生産の近代化、バイオ技術の開発、AI向けデータセンターや半導体工場の建設などを優遇し最先端の技術の活性化を図ります。

これらの政策は、労働者の収入と権利を拡大により、内需を促進し長期的な安定に繋がります。また、最先端技術を中心に支援することで、その分野の企業成長も促進されそうです。一方で、最低賃金の上昇や労働者の権利の拡大は企業の負担が増えるため収益率を減少させる懸念があります。また、企業への支援も限定的であると見なされ、景気後退懸念の声もあがっています。

外交

多国間協力と同盟強化を掲げ、協調的な外交を目指します。 NATOやアジアの同盟国との協力を重視し、トランプ政権時代に緊張が高まった同盟関係の回復を目指しています。特に、日本、韓国、欧州連合EU)との連携強化の推進し、国際的な安全保障体制を強化する計画です。中国に対しては現状の対中国政策を継続しつつ、状況によっては貿易や気候変動分野においては協力を図る姿勢を示しています。

トランプ氏のように他国に圧力をかければ、いつか自国に跳ね返り関係性が悪化し、国際的な安全保障に支障を与えると考えています。そのため、他国との協調を掲げ共に国際的な安全と成長を方針に掲げています。国連などの国際的な取り組みには引き続き積極的に参加し、世界への求心力を保っていく狙いがあります。

環境対応

再生可能エネルギーの推進と脱炭素社会の実現を掲げています。2030年までに電力の50%を再生可能エネルギーで賄うため、風力・太陽光の設置に年間2,000億ドルを投じる予定です。2050年までにはカーボンニュートラルを達成するため、国内のEVインフラ拡充を計画、2030年までに新車販売の半分以上をEVにし、ガソリン車からの転換促進を発表しています。また、気候変動対策による新たな雇用創出にも注力する予定です。10年間で1000万人のグリーンジョブを創出し、気候変動対応の技術革新と経済成長を両立することを検討しています。

積極的に脱炭素社会を目指していることから、現在の国際的な環境規制も継続的に推進されることが見込まれます。また、グリーンジョブの推進は、環境技術のリーダーとしての国際的な地位を築く狙いがあります。そのため、国からの支援により環境分野の企業は大きく成長が見込まれます。

ハリス氏の政策のまとめ

国際的に協調し合い、貧困層への支援や所得再分配を通じて社会の安定を図り、格差を縮小させることを目指します。これにより、消費の安定化や社会的な連帯感が高まり、持続可能な経済基盤が築くことが期待できます。一方で、過度な増税や規制、他国への支援などにより自国への還元率が低く、経済活動を制約する恐れもあります。

 

ハリス氏の政策は環境対策に非常に力を入れています。そのため、環境分野や自動車のEV関連の企業の成長を促進する可能性が高いです。また、経済成長も重視していますが、一番の優先事項は格差のない安定的な社会の実現です。特にトランプ氏の政策は米国の経済成長第一優先です。現在の相場はトランプ氏当選を織り込んでるため、ハリス氏が当選すると、大きく下落する可能性もあります。実際、賭けサイトのカルシでは、トランプ氏のリードが急低下しハリス氏の勝率が49%まで巻き返しました。その結果、ドル/円など為替市場や株式市場では下落が起こっています。ここ数日の相場はボラティリティが大きくなりそうですので注意が必要です。

 

ではでは

 

 

 

 

 

米国大統領選挙①~トランプ氏の政策~

トランプ氏の政策とその影響を考える

いよいよ米国大統領選挙が11月5日に実施されます。一大イベントが間近に迫ってきました。この結果は、各国の方針や経済成長の展望を大きく左右します。現在の報道では、どちらが優勢か放送局によって異なっており、次期大統領を予想するのは難しい状況です。そのため、今回はトランプ氏の政策とそれによって生じる影影響を金融政策、雇用と産業、外交、環境対応の観点から解説していきます。

金融政策

減税政策の拡大と金融規制や金利の緩和を掲げています。つまり、個人消費と企業投資を促し流動性の高い経済を目指しています。例えば、米国内で製品を生産する企業に限り、法人税率を15%まで大幅に引き下げる方針を打ち出しています。同様に所得税の大幅な引き下げも検討しており、企業と個人の両方への支援を加速することを計画しています。また、金融規制の緩和や金利の引き下げを支持しており、貸出拡大を狙っています。その結果、企業への融資だけではなく、住宅ローン等の個人融資の拡大が見込まれます。

これらの政策は消費と融資を促し市場の通貨流動性をさらに高める方針です。そのため、当選すれば米国の株高や企業の成長が促進されることを期待できます。一方で、インフレや金融機関の財務状況の悪化が懸念されます。

雇用と産業

製造業の復興と移民就労規制の厳格化を掲げています。製造業回帰を目指し、自動車、鋼鉄、重工業などの雇用を創出、支援していきます。そのため、全輸入品に一律20%、中国からの輸入品やメキシコ国境を越えてくるすべての自動車に最大100%の関税を課すことを宣言しています。関税分が値段に乗った商品は高すぎて売れなくなるため、メイドイン米国の競争力が高まることが予想されます。また、移民の入国制限を強化することで低賃金雇用を減らしアメリカ国民の雇用の維持と賃金上昇を促します。

これらの政策は米国企業の競争力を高め収益を向上させることで雇用の安定や賃金を上昇させる方針です。一方で、関税による対策は他国への反感を与え関税戦争となり米国の輸出品が売れにくくなる危険性もあります。

外交

アメリカ・ファーストを掲げ、アメリカの国益を最優先する外交を目指します。そのため、自由貿易協定の見直し、NATOや国連に対する拠出金の削減を検討しています。同様に日本やNATO加盟国に対して駐留費負担を増額し、米国の防衛費用を年間で数十億ドル削減することを目指しています。また、中国に対しては今まで以上に経済制裁や輸入関税を設け、中国の経済・軍事力の台頭を牽制する方針です。また、中国を初めとする脱ドル化を進める国々には100%の関税を課すことも宣言しています。

これらの政策は米国第一主義であるため、米国自身の軍事力や経済力を向上させる政策です。米国の立場が強くなればなるほど他国は無視や反発ができないため、他国が米国との関係を強めなければいけません。そのため、結果的に国際的な安全保障が確立できると考えることもできます。一方で、他国に圧力をかければ自国に跳ね返り関係性が悪化することも十分に考えられます。そのため、この政策による国際的な安全保障への懸念と米国の国際的な孤立の可能性は拭えきれません。

環境対応

化石燃料推進とパリ協定の脱退を示唆しています。米国経済の成長のため、石油・天然ガス・石炭の生産を奨励しています。エネルギー自給率100%を達成するため、シェールガス生産を1日1,300万バレル以上生産する体制を検討しています。また、パリ協定からの脱退を支持しています。温室効果ガス削減目標を実施しないことで、企業や国の環境対応コストを数十億ドル削減できると試算しています。これらの政策により、米国製造業やエネルギー関連産業の競争力強化に繋がると考えています。

これらの政策は、環境対策のコストの高さや、環境対策の実施によって、自国の製造業やエネルギー産業の国際的な競争力低下を防ぐことが狙いです。そのため、米国の非協力的な行動によって、今後、国際的な環境規制の後ろ倒しや廃止が頻発することが考えられます。脱炭素社会に向けて努力してきた企業への影響は大きくなりそうです

トランプ氏の政策の総括

アメリカを優先的に優遇し、企業や個人の競争力を高めることで経済成長を図ります。消費や投資、融資が活発化し、経済の規模が拡大することが期待されます。一方で、富の集中による格差の拡大や、国際的な孤立が副作用的に生じます。そのため、長期的には社会的不安や消費の低下につながる可能性も意識しなければなりません。

トランプ氏の政策は現在の米国の方向性と真逆であることが分かります。特に、米国経済は世界の中心です。そのため、米大統領選挙の結果によって今後の世界の流れが180°変わる可能性があります。米国の方針がガラリと変わっても問題ないよう、ポートフォリオの管理や再配分が必要となります。特に、トランプ氏の再任は、外交や環境対応に大きな変更を与えることは間違いありません。

 

ではでは

 

 

 

 

 

日本は今後どうなる?~自公過半数割れ~

政治について考える

2024年10月27日の衆議院選挙の結果、与党が215議席過半数を割る結果となりました。このまま自民党公明党の与党の議席過半数を満たさないと、どのようなことが起こるのでしょうか。政党の動きとそれに伴う市場の動きから解説をしていきます。

首相指名選挙

衆議院総選挙後、30日以内に首相指名選挙が行われます。与党、野党関係なく各政党は首相候補として自身の党の代表や有力な人物を推薦します。その後、衆議院参議院のそれぞれで、過半数の票を獲得した候補が首相に指名されます。もし、一回目の投票で過半数を獲得する候補者がいなければ、上位2名による決選投票が行われます。決選投票でも過半数に達しない場合は、衆議院でさらに再投票が行われ首相を指名します。また、衆議院参議院で異なる候補が指名された場合、憲法に基づき衆議院の決定が優先されます。

首相指名選挙までの動き

与党の議席過半数割れになった今回、首相指名を確実なものにするため、自民党の実施したい政策を実現させるためには、議席過半数以上確保しなければなりません。今後、以下の動きを取ることが考えられます。①与党が国民民主党日本維新の会などと連立を組む。 ②与党が立憲民主党と大連立を組む。また、与党が連立をどことも組めない場合は以下の流れに移ります。少数与党内閣を続ける。 ④野党の連立による政権交代現に、石破氏は国民民主党に連立を持ちかけています。また、立憲民主党党首の野田氏は首相指名選挙で首相を勝ち取ると述べていますので、②は非現実的かもしれません。特に与党の動きとして①、③のどちらになるかが注目されます。その結果によって市場の動きが変わってくると考えられます。

連立政権

自民党が与党の議席過半数以上にするには、野党から連立入りを打診する必要があります。そのため、国民民主党日本維新の会が掲げる政策の実現の道筋を示していかなければなりません。例えば国民民主党は、税負担の軽減によって企業と働く人の収入を促す政策を掲げています。消費税や法人税の引き下げや給与所得者向けの控除を増やすことで国内の消費を拡大させ成長を促すことを重要視しています。また、財源の確保として社会保障の見直しも掲げています。全ての実現は難しいですが、今までの与党の政策に比べ、さらに消費が進み企業の収益が増えることが期待できるため、市場にはプラス要因となり、好感がもたれやすくなります。

少数与党

一方で、国民民主党日本維新の会自民党への連立に対して現状は否定的です。政治とカネの影響で今回、自民党が大幅に議席を減らしたことから分かるように、国民のイメージは良くありません。もし、自民党と連立した場合、連立した党は、裏金問題のレッテルを貼られ国民の支持離れが考えられます。そのため、連立に対して後ろ向きな現状です。与党が誰とも連立できなかった場合、少数与党内閣として進めて行くことになります。

決定の遅延と求心力の低下

少数与党内閣となると、過半数議席がないため予算案を始めとする国の意思決定に遅延が生じます。首相が掲げた政策が実行されないことが多く、支持率の低下や党内からの批判が増加し首相交代に繋がります。首相が頻繁に変わること、国内の決定が決まらないことで外交への時間とパワーが削られます。その結果、世界に対する日本の影響力がますます減っていきます。現に、米国は今回の与党の過半数割れに懸念を示しています。世界への求心力が低下した状況が続くと日本の成長が落ち込むと考えられるます。その結果、日本経済への期待が低くなり、株価などの下落に繋がっていきます。

今後の流れ

首相指名選挙までの自民党の動きとその内容によって市場が短期的にドラスティックになる可能性があります。国民民主党や維新の会などの成長路線の党との連立が決まれば市場は好感を示すでしょう。あくまでも、要因の1つですが、国民民主党への連立に向けた自民党の働きかけが報道され、日経平均は上昇しました。一方で、どことも連立出来ず少数与党になれば、日本の求心力の低下に嫌気をさし、市場に悪影響を与えることが考えられます。どちらにしても、今後の自民党の動きには注目です。ただし、これはあくまでも、期待先行の動きです。連立しても、上手く行かないことも考えられます。結果的に市場は嫌気をさし、下落相場に陥り可能性も十分にありえますので注意が必要です。また、国内だけではなく、今後の米大統領選も大きく関わってきますのでまだまだ落ち着かない相場になりそうです、、、

 

ではでは

 

 

ゴールドとシルバーの急騰②~シルバーの最高値更新は金融危機のシグナル

貴金属と金融危機の関係を紐解く

ゴールドとシルバーの急騰①ではゴールドが最強の安全資産であること、シルバーはゴールドより安全資産としては優れていないことを解説しました。現状、ゴールドは史上最高値を更新しています。これは米国政府の過去最大レベルの財政赤字や米銀行の歴史的な負債額がドル通貨の対外的な信用と価値の低下を引き起こした結果です。この内容は下記記事に詳細を記載しています。

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シルバーの価格上昇

ゴールドは安全資産用途で買い圧力が強まっていますが、シルバーも12年ぶりの高値を更新しました。この理由をゴールドとの相関、インフレ対策の観点からご説明します。

ゴールドとの相関

シルバーは株ともゴールドとも相関がある二面性の性質があります。これは前者はリスクオン、後者はリスクオフ時に見られる傾向です。ゴールドとの相関は「シルバーの代替効果」が大きく影響してきます。株価との相関は前回説明しましたので割愛します。詳しくは下記記事をご覧下さい。

mametmamero.hatenablog.com

代替効果

ドルなどの通貨の信用低下により、まずゴールドが買われます。これより、急激に需要が増加するため価格が高騰します。まさに、最高値更新をしている今の状況です。高騰しすぎて手が届かなくなると、自身が購入できる範囲の代替品を購入するようになります。シルバーはゴールドほどではないものの、長い歴史の中で貴金属や貨幣としての扱われ、世界共通の価値があります。そのため、投資家は比較的安価なシルバーを選ぶことが多くなります。

インフレ対策

不景気の懸念が高まると、中央銀行量的緩和や利下げを実施すると予想されます。その結果、通貨供給が増え、インフレが進行する可能性があります。シルバーは通貨より価値が下落しにくい実物資産であるためインフレヘッジとして買い圧力がかかります。また、現在進行中の米大統領選では両候補とも雇用と経済を上向かせるためドル通貨を市場にばらまくことを宣言しています。 ハリス氏の税制・支出計画では10年間で3兆5000億ドル、トランプ氏は約2倍の7兆5000億ドルになると予想されています。特にトランプ氏が再選すると、米国は再びインフレに傾くことが危惧されています。

シルバーの更なる高騰

現在のシルバー価格の上昇はゴールドの代替需要とインフレヘッジの2つが重なったことが大きな原因だと分かりました。そして、実はここからもう一段階、シルバーが急騰し、ゴールドの上昇を越える上昇率に達する可能性があります。これは、金融危機の影響をうけて銀行がシルバーに対するショートポジションを解消することに起因します。

銀行のショートポジション

シルバー市場は他の商品市場に比べて規模が小さいため、価格操作が比較的容易であると考えられています。多くの顧客に対して先物オプション取引を実施している銀行は価格が上昇すると損失が大きくなります。そのため、銀行はシルバー市場で売ること(ショート)で価格を抑える戦略を取っており、シルバーの価格は比較的に低く抑えられています。多くの経済アナリストはシルバーは供給不足である現状にも関わらず、それに見合った価格ではないと見解を示しています。

ショートスクイーズ(強制的な買い戻し)

金融危機などで市場が不安定になると、シルバーが上昇しやすくなるため、ショートポジションを持っている銀行は損失が発生していきます。価格の上昇は青天井であるため、損失は無限大まで拡大します。また、それでもポジションを維持するためには追加の証拠金の支払う必要があります。シルバーの需要が高まり、上昇が続く場合、銀行はポジション維持のために証拠金を払い、解消しない限り損失はどんどん拡大する状況です。金融危機に陥ると、不良債権の対応や市場の貸し渋りの対応に追われ現金や手元資金が減り自己資本比率は悪化します。つまり、ショートポジションによる損失拡大を無視できない、もしくはすでに証拠金が払えなくなるほど財務が悪化した場合にポジションが解消されシルバーを大幅に買うことになります。

連鎖的なポジション解消

不況や信用低下などで銀行はショートスクイーズをしなければいけない状況に追い込まれるとシルバーが大幅に買われ価格が急騰します。急騰すれば、まだショートポジションをとっている銀行の損失は指数的に拡大します。その結果、最初は少数のポジション解消だったものの、他の銀行も連鎖的にショートスクイーズを実施し、短期間で大量の買い戻しが行われ価格は急騰します。

貴金属と金融危機の関係

例として、2008年のリーマンショックがあげられます。金融危機の2年ほど前から貴金属が上昇し始めました。最初にゴールドが上昇、遅れてシルバーも上昇しました。リーマンショック発生の1年付近でゴールドとシルバーは最高値を更新しました。そして、リーマンショックの直後、銀価格は一時的に大きく下落したものの、その後に大幅に回復し最高値を記録し、高騰率はゴールド超えていました。これは銀市場でショートスクイーズが発生したためです。

現状の相場

今回のシルバーの上昇は通貨の信用低下とインフレ再発などの先行き不安に起因します。ゴールドの最高値が更新された今、次にシルバーが最高値を超えると今までのアノマリーから金融危機の懸念が大いに高まると考えられます。つまり、シルバーの最高値更新は金融危機への警告シグナルです。今後はシルバーの価格上昇を定期的にウォッチし、最高値更新が間近になれば撤退することも必要だと思われます。リスクヘッジの実施と定期的な資産管理が重要です。決して今の相場を楽観視してはいけないと感じています。

 

ではでは

ゴールドとシルバーの急騰①~シルバーは安全資産なのか

ゴールドとシルバーの性質を理解して投資する

現在、ゴールドとシルバーは共に価格が上昇しており、ゴールドは最高値更新、シルバーも最高値更新の期待が高まっています。これらのコモディティはインフレや通貨の価値が下落する状況においても価値を保持すると考えられています。しかし、ゴールドは安全資産のイメージが強いですが、シルバーは資産としてどのような特徴があるのでしょうか。今回は、ゴールドと比較しながらご説明させていただきます。

安全資産とは?

そもそも安全資産とは、①価値の保存性と安定性 ②高い流動性 ③独立性 を満たさなければいけません。最強の安全資産と言われているゴールドを例にだしてご説明します。

①価値の保存性と安定性

ゴールドは採掘量が少なく希少性が高く、その上、化学的に錆びないため美しい光沢を保ちつづけます。そのため、富の保存手段として何千年も前から使われいる実績があります。それが価値の裏付けとなり、価値の保存性を担保しています。また、ゴールドは産業利用が極めて少ないため、消費されずに資産目的の貴金属市場(以下貴金属市場)での取引が優先されるため価値が安定します。もし、ゴールドの産業利用が多い場合、好景気になると産業が活性化し産業用途に多く流れ、貴金属市場に流れず価格が高騰します。逆に不景気になれば、産業用途としての需要が減るため貴金属市場に多く流れ価格が下落します。つまり、産業用途が少ないことがボラティリティの安定感に起因し価値の安定性を担保しています。

②高い流動性

ゴールドは価値の保存性と安定性が担保さていることから、多くの国や地域で共通の価値を持っています。その結果、国際的な取引でもゴールドの売買は通用します。つまり、どこでも、簡単に現金化できる信頼感が高い流動性を担保しています。

③独立性

ゴールドは、政府や中央銀行が発行する通貨とは異なり、誰かが管理・発行していません。また、産業利用が少ないため景気による需要と供給の影響がうけにくいです。つまり、金融危機や不景気の際、ゴールドは市場や金融システムから独立しているため、株や債券と相関が低く独立しています。

シルバーは安全資産か

実は、シルバーは金融用途よりも産業利用の用途が非常に多いため安全資産としては優れていません。シルバーは金属の中で最も優れた電気伝導性を有し、電力損失を最小限に抑えることができます。そのため、バッテリーや回路基板などの多くの電子機器に利用されています。特に近年では、環境対応としてEV車や太陽光発電システムなどの需要が著しく、それに伴いシルバーが大量消費されています。この産業利用による大量消費が価値の安定性、流動性、独立性に悪影響を与えます。

低い流動性

産業利用が金融用途より多いため、生産されたシルバーは産業用途に回され貴金属市場には少量のシルバーしかありません。その結果、ゴールドにくらべ約1/60倍の少規模な市場となります。つまり、誰かが売買したくてもシルバーの総量がそもそも少なければ希望通りのタイミングで現金化が難しくなります。

高いボラティリティ

産業用途のシルバーは景気の良し悪しで使用する製品の需要と供給がバラつき価値の安定性を損ないます。例えば、景気が良くEV車が沢山作られればシルバーの需要が高まり貴金属市場にシルバーが流れず、価値が高騰します。一方で、不景気になるとシルバー需要が減るので余ったシルバーが貴金属市場に流れ、価値が下がります。これにより、ボラティリティも大きく変動し価値の安定性に悪影響を与えます。

市場との高い相関

産業利用が多いということは、市場の需要と供給の影響を受けることを意味します。つまり、不景気によって需要が減りEV車などの製品が売れなくなるとシルバーが使われなくなり、貴金属市場に過剰供給されます。つまり、リセッションの影響を受けて企業の株が下落するのと同じようにシルバーの価値も下落していきます。すなわち、市場との相関が高く、独立性はあまり優れていません。

以上のことから、安全資産を購入したい場合はシルバーではなく、ゴールドを購入することが無難と考えられます。しかし、現状はゴールドだけではなく、シルバーも購入され、その結果、高騰しています。次回はゴールドより安全資産としては優れていないにも関わらず大きくシルバーが買われている理由を解説します。

 

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