投資のCOFFEE BREAK

初心者でも分かるように投資についてゆったりとお話します。コーヒーブレイクがてらにどうぞ。

トランプ氏の中国攻勢と半導体リスク

米国株の歪みと今後の展開を考える

25年10月10日、中国が発令したレアアース関連の規制に対して、トランプ大統領が「習近平と会う理由がない、100%の追加関税を検討」と発言。その結果、S&P500等の米国株価やビットコイン等の仮想通貨は大幅下落。
日経平均株価(先物)も最大で-3402.41円、一時7%超の暴落が発生しました。この騒ぎを受けてなのか、トランプ大統領は「 中国のことは心配しなくていい、すべてうまくいく!アメリカは中国を助けたいのであって、傷つけたいわけじゃない」と大幅な軟化姿勢を示しました。これを受け一部の方はTACOったし株価は戻ると安心してますが本当にそうでしょうか。

中国の先手

今までの相互関税はトランプ大統領が先手として強烈なジャブを仕掛け米国に有利な条件を得る手法でした。一方で今回は中国側からのレアアース関連の規制といった強烈なジャブです。つまり、決定権は米国でなく中国なのです。ただ、内容が米国に対して脅威にならならければ強硬姿勢を貫けばいいのですがそうはいきません。

中国レアアース関連の規制

この規制は4月に中国が実施した輸出規制強化を拡張・具体化するものと見られています。内容を下記に簡単に示します。

レアアース関連の 加工・製造技術(例磁石製造技術、リサイクル設備等)に対する輸出管理を強化

②海外の防衛用途、半導体用途向けの許可審査を厳格化

中国企業が、許可なしに海外でレアアース技術に関わる協力禁止

④中国製の部品・機械を用いる海外製造業者に対し、規制対象物の輸出時に許可が必要

※全般的な輸出禁止ではなく、許可制度を通じて管理を強める形 

米国の心臓をつく内容

米国や半導体分野にとって脅威なのは、発動のしやすさなども含め特に④、次に②となります。順に説明いたします。NVIDIAなどで設計した半導体チップは委託先のTSMC等の製造工程で製品化されます。この製造過程の表面平滑化工程でレアアースのセリウムを使用したCeO₂研磨材が必ず使われます。また、各工程に必要なエッチング装置などにはレアアースネオジウムを使用したNd磁石がモーター、ポンプのコア部品となります。共に品質や精度を担保するには代替が難しく、セリウムは中国依存度ほぼ100%、ネオジウ厶も中国シェア80%超と中国の影響力が大きい状況です。

④規制により、中国が「中国由来の装置や部品の輸出」を許可制にすることで中国側の意図で簡単に輸出を止めることが出来き、中国自身がサプライチェーンの全貌を把握することが出来ます。また、②の規制により、「対象用途向けの許可審査を厳格化」し、そもそもレアアース材料を輸入出来なくすることもできます。つまり、④で輸出することが制限されれば、半導体チップを必要数を供給できずAIセクターなどの成長エンジンが減衰します。また、②が発動されれば、新規既存工程で専用材料が使えず、半導体製造ラインそのものが止まったり納期が大幅に遅れるリスクが生じAIセクターが壊滅的影響を受けることになります。

今回の騒動を整理

時系列に沿って①〜④の流れで整理

①対米交渉・米中首脳会談などで譲歩を引き出すための圧力や交渉材料および安全保障での優位性を保つ目的として中国が先手でレアアース関連の規制の強烈なジャブ。

トランプ大統領、追加関税100%でカウンターを狙う。 

③市場が、レアアースの規制が株価の成長エンジンであるAI関連銘柄に大きな影響をもたらすことを理解。トランプ大統領の強気なカウンターでは米中関係を冷ややかにし、リスクをより顕著にさせると判断し、リスクオフの売りで株価暴落。

トランプ大統領、市場動向が想像より厳しく、金融的な観点から短期的悪影響を防ぐためにもカウンターの手を引っ込める。

今後の展開 

今回の騒動を整理して考えると本当にTACOしただけで安心でしょうか。不安要素は大きく2つあります。

①AIセクターの明確な弱点露出

今まで、中国への依存度が高いと分かっていながら楽観的かつ過度な期待で株価が上がっていました。しかし、今回、中国が「チップを作る過程」と「チップを使う先」の両方に悪影響を与える内容を具体化したことでリスクが鮮明になったこと。そして、それに対して米国が即座に対応できるカウンター対策がないことが浮き彫りになりました。本当に今の勢いのまま成長が加速できるのか疑問が生じ、それが売りを引き起こすと考えられます。

トランプ大統領の最終判断

現在、中国に対して軟化姿勢を示していますが、これは「米国が報復しないんだから、分かるよね?これ以上はだめだぞ?なんなら少しでも緩和するよね?」と暗に言っています。これに対し、この件で交渉有利な中国側が頑なに米国に色々な不利な要求し続けたらどうなるでしょうか?トランプ大統領はそれを承諾しても株価と支持率は下がります。屈せず、真っ向勝負で追加関税などを報復をとれば株価は大きく下がりますが、支持率は下がりにくいかもしれません。どちらを選ぶかは分かりませんが難しい外交なのは事実です。

個人的には、AIや半導体分野のリスクで株価のボラが不安定かつジリ貧。そして、関係が上手くいかず、更に株価がどこかのタイミングで大きく下るのではないかと考えています。ひとまず言えることはトランプ大統領が中国に軟化姿勢を示したことで直ぐに安心とはならないのではと思っております。

ではでは