中国経済の低迷と株価バブル
中国の株価と実体経済の解離
中国株式市場はデフレによる景気低迷によって低い水準を維持していました。9月末、数年振りに政策金利や市中銀行の預金準備率の引き下げなどの大規模な緩和策を発表したところ、市場が好感を持ち、3週間で34%も急騰しました。一方で、ここ二日間で、11%の下落率なども観測され、株価の乱高下が目立ちます。この株価の上昇は一時的なバブルなのかそれとも継続していくかを、中国の経済が低迷してる理由から紐といていきます。
輸出依存経済
中国は安価のものを世界に輸出する輸出依存経済で大きく躍進しました。安く豊富な労働力と国からの多額な補助金や融資よって生産設備を大幅に増強し大量生産を行うことで国際的な競争力を高めました。そして、輸出によって中国は経済成長を加速させ世界2位の経済大国となりました。また、輸出で国際的な競争力を維持するためには、安価であり続けることが重要であり、国もまたそれを支持しています。その結果、常に生産設備をフル稼動させ大量生産をし続けることで安価な製品を維持しています。
過剰生産と低賃金
日中貿易摩擦や都市部の労働者のコストアップなどによって近年、国際的な需要が減少しています。しかし、国の方針で需要に関係なく大量生産しているため、国際市場で売れ残ると、国内市場に流れ込み過剰生産となります。国内に大量の商品が出回ると、供給が需要を上回り、価格は下落します。その結果、企業の収益性が悪化するため、コスト削減のために賃金を低く抑えようとします。この過剰生産を止めればいいのですが、中国の企業の大部分を占める国有企業の影響で止めることができません。
国有企業による悪循環
中国は、政府の政策を実現するために積極的に国有企業を活用しています。国有企業は収益が最優先ではなく、国の政策実現と雇用の確保や維持が主目的となっています。つまり、今回のケースでは常に政府の方針である大量生産と雇用の維持の実現が国有企業の最優先事項となります。つまり、国有企業は、需要が少なく利益が見込みない場合でも過剰生産を実施し、利益率をさらに低下させます。また、リストラも出来ずに過剰な人員を維持します。その結果、利益がないため従業員に還元されず低賃金が常に維持されます。また、本来なら倒産されるはずですが国からの支援があるため、利益を出せないのに淘汰されず残り続けます。
購買意欲の低下とデフレ
国有企業の影響もあり、中国の大半の消費者は働いても働いても賃金が上がらず低い所得のままです。余裕がないため出来るだけ消費を抑えようとし購買意欲が著しく低くなります。また、国民は社会保障が充実していないことや、一人っ子政策の弊害などで老後への不安を持ち、それが高い貯蓄率を引き起こしています。同様に、賃金の低下による将来の不安は貯蓄を促し、さらに購買意欲を引き下げます。その結果、中国では、消費者は消費よりも貯蓄を行うため、ものが売れずさらに値段を下げるしかなくなり収益がさらに落ちます。収益が下がればまた賃金も下がるといったデフレスパイラルが蔓延している状況になっています。
今回の緩和策から分かること
この状況から抜け出すには輸出依存から内需拡大への方向展開が必要不可欠です。すなわち、景気を上向かせるためには、政府が社会保障の充実や最低賃金の引き上げといった直接的に消費を促す方針を打ち出さなれば根本的な解決になりません。さらに言えば多すぎる国有企業の解体も必要です。しかし、打ち出した政策は金利低下や融資の緩和などで、企業や個人が資金を調達しやすくなる環境づくりでした。つまり、資金を調達し安価な製品の輸出の維持に繋がる内容となっていました。貯蓄から消費へ促すには不十分であるため、中国のデフレによる低迷はまだまだ続きそうだと言えます。
今回の株価上昇は直接的な解決に繋がらないにも関わらず急騰しました。これは数年振りの緩和策であることからの過度な期待感やそれに伴う上昇を短期売買を行う投機筋がこぞって買ったことによるものだと言えます。このことから、今回の株価は一時的と考えられます。これは、期待や不安だけで株価が乱高下し、それに実体経済が追い付いていない良い例です。実体経済が成長しなければ株価が継続的に上がりませんので、投資では株価だけではなく、その国、企業の経済状況の把握と予想も必要です。今回の中国だけではなく、株価の過度な上昇局面では実体経済と株価の解離がどれほどなのかを注意深く見る必要があると感じています。
ではでは