投資のCOFFEE BREAK

初心者でも分かるように投資についてゆったりとお話します。コーヒーブレイクがてらにどうぞ。

どうなる?USスチール買収の行方②

買収の今後と日本経済への影響

前回のブログでは、「なぜ日本製鉄がUSスチールを買収したいのか」、「なぜトランプ氏に反対されるのか」を中心に解説しました。特にトランプ氏がこの買収を全面的に反対している理由をとして、USスチールの競合他社と深い関係のあるUSW(全米鉄鋼労働者組合)と国民の反対感情が大きく関係していることを述べました。詳しい詳細は下記過去ブログをご覧下さい。

mametmamero.hatenablog.com

今回は買収におけるポイントと現状、今後の流れについてお話しさせていただきます。

買収のキーポイント

買収が決定されるためにはCFIUSの審査をパスしなければなりません。CFISUSは米国の外国投資委員会であり、外国企業によるアメリカの企業や資産への投資が国家安全保障に与える影響を審査する政府機関です。財務省が主導し、複数の政府機関(国防総省国務省、商務省など)が参加しています。CFIUSが承認することでUSスチールの買収が成立することになります。

CFIUSの審査内容

CFIUSは買収に対する対応として「承認」「条件付き承認」「非承認」「審査延長」の対応をとります。この中で「非承認」となった場合のみ、大統領の最終判断が必要となります。つまり、大統領がいくら反対してもCFIUSが「承認」および「条件付き承認」と判断すれば買収が成立可能になります。

買収にむけて日本製鉄のやるべきこと

買収を確実に成功させるためにはCFIUSが「承認」「条件付き承認」と判断してもらうことが重要です。大統領は既に反対姿勢を示しており、大統領判断は勝率が低いと考えられます。そのため、買収が国会安全保障の観点でリスクが低いことをCFIUS へ明確に示すことが必要です。また、CFIUSは政府機関で構成されるているため、USW(全米鉄鋼労働者組合)と関わりが深いメンバーも多く在籍しています。つまり、UFWの反対意見が間接的にCFIUS の決定に大きく関与します。そのため、雇用の安定を含めた米国のへの貢献度合いを丁寧に説明する必要があります。

現状

日本製鉄は9月に既に申請していたUSスチールの買収審査を一旦取り下げ再申請し、12月23日にCFIUSの判断が下されることになっています。この間に国家安全保障面での懸念に対応する具体的な案をCFIUSやUSWの幹部へ協議を続けています。例えば、買収した後もUSスチールの米国内の生産を優先し、米国での生産能力の強化に注力し米国経済を活性化させる方針を発表しています。また、米国籍の取締役や経営陣の多くを配置し、米国企業としてのガバナンスを強化することも約束しています。さらには、原材料調達に関しても、米国産の素材を使用することを提案しており、米国製鉄業界への支援の姿勢も示しています。また、今回の買収計画を巡って、石破茂首相が現バイデン大統領に書簡を送り、承認するよう求めており、企業間だけではなく国家レベルの話になっていることが分かっています。

今後の流れ

直近では、現大統領のバイデン大統領やトランプ次期大統領がこの買収計画を防ぐことを表明しています。また、USWの会長も日本製鉄のUSスチールへの設備投資の計画に反対を表明しています。もし、CFIUSが非承認となった場合、大統領が買収を却下する可能性が高いです。却下されると、日本製鉄やUSスチールは、CFIUSや大統領が掲げる国家安全保障リスクの根拠が不十分とし、「買収阻止が不適切であり、恣意的である」と訴訟を起こすことを表明しています。この動きは大統領に対して全面的に戦う姿勢を見せることになります。また、既に石破首相がこの買収に絡んでいることから、日本が米国に対して異議を申し立てている構図になる可能性があります。特に、米国第一主義のトランプ次期大統領が就任すると米国VS日本の構図は日本にとってネガティブに働くことが予想されます。

関税による制裁

大統領、特にトランプ大統領に反対されたまま買収を強引に進めると過度な関税を課される可能性が高まります。以前から、トランプ氏は敵対する対象国の全ての輸入品に対し追加関税が課す政策を提案しています。そのため、特定の鋼材製品だけでなく、日本からの輸入品全てに関税を課すことが予想されます。その結果、米国に多く輸出している「自動車や関連部品」や「精密機器・機械」といった世界をリードする日本の主要産業が軒並みダメージを受けるリスクがあります。つまり、このまま敵対されたままの買収は日本製鉄だけではなく日本の主要産業にも大きな影響を与える結果につながりかねません。

ひとまず、12/23のCFIUS の判断とそれまでの日本製鉄のロビー活動が上手く行くことを願うばかりです。また、12/23付近で日本の輸出関連銘柄の急な株価の変動には注意しなければならなそうです、、

 

ではでは、、