ハリス氏の政策とその影響を考える
いよいよ米国大統領選挙が11月5日に実施されます。一大イベントが間近に迫ってきました。この結果は、各国の方針や経済成長の展望を大きく左右します。また、選挙目前でハリス氏の当選確率が急上昇したことも各社で報道され、どちらに転んでもおかしくありません。前回はトランプ氏の政策を解説しました。下記のブログに詳細を示していますのでご覧下さい。
今回は、ハリス氏の政策を金融、雇用と産業、外交、環境対応の観点から解説していきます。
金融
富裕層や企業への増税と金融機関の規制強化を検討しています。つまり、高所得者や企業の利益を税で回収し、社会保障政策を通じて貧困層への分配を行います。現に、富裕層への増税と法人税の引き上げによって年間2,000億ドルの歳入増加を見込み、それを社会保障費などに充てる計画を発表しています。また、リーマンショックのような金融危機から消費者を守ることも目標にしています。そのため、金融機関の自己資本比率についてのバーゼル規制を強化することを検討しています。これにより金融機関による過剰な通貨の流動を抑えることを目指しています。
ハリス氏の金融政策は貧困層へ支援がメインであるため企業にとっては成長を抑制する可能性があるものの、法人税や金融機関への規制は過度なインフレの抑制に繋がると考えられます。
雇用と産業
最低賃金の引き上げと労働者の保護によって格差を縮小させることを掲げています。最低賃金を時給15ドルまで引き上げ、低所得者層の収入を増加させることを宣言しています。労働組合の権利拡大や有給休暇の義務化、育児介護休暇の制度化で従業員の権利保護を方針としています。また、アメリカフォワード戦略と名付けた政策により、最先端技術の支援を実施予定です。鉄鋼生産の近代化、バイオ技術の開発、AI向けデータセンターや半導体工場の建設などを優遇し最先端の技術の活性化を図ります。
これらの政策は、労働者の収入と権利を拡大により、内需を促進し長期的な安定に繋がります。また、最先端技術を中心に支援することで、その分野の企業成長も促進されそうです。一方で、最低賃金の上昇や労働者の権利の拡大は企業の負担が増えるため収益率を減少させる懸念があります。また、企業への支援も限定的であると見なされ、景気後退懸念の声もあがっています。
外交
多国間協力と同盟強化を掲げ、協調的な外交を目指します。 NATOやアジアの同盟国との協力を重視し、トランプ政権時代に緊張が高まった同盟関係の回復を目指しています。特に、日本、韓国、欧州連合(EU)との連携強化の推進し、国際的な安全保障体制を強化する計画です。中国に対しては現状の対中国政策を継続しつつ、状況によっては貿易や気候変動分野においては協力を図る姿勢を示しています。
トランプ氏のように他国に圧力をかければ、いつか自国に跳ね返り関係性が悪化し、国際的な安全保障に支障を与えると考えています。そのため、他国との協調を掲げ共に国際的な安全と成長を方針に掲げています。国連などの国際的な取り組みには引き続き積極的に参加し、世界への求心力を保っていく狙いがあります。
環境対応
再生可能エネルギーの推進と脱炭素社会の実現を掲げています。2030年までに電力の50%を再生可能エネルギーで賄うため、風力・太陽光の設置に年間2,000億ドルを投じる予定です。2050年までにはカーボンニュートラルを達成するため、国内のEVインフラ拡充を計画、2030年までに新車販売の半分以上をEVにし、ガソリン車からの転換促進を発表しています。また、気候変動対策による新たな雇用創出にも注力する予定です。10年間で1000万人のグリーンジョブを創出し、気候変動対応の技術革新と経済成長を両立することを検討しています。
積極的に脱炭素社会を目指していることから、現在の国際的な環境規制も継続的に推進されることが見込まれます。また、グリーンジョブの推進は、環境技術のリーダーとしての国際的な地位を築く狙いがあります。そのため、国からの支援により環境分野の企業は大きく成長が見込まれます。
ハリス氏の政策のまとめ
国際的に協調し合い、貧困層への支援や所得再分配を通じて社会の安定を図り、格差を縮小させることを目指します。これにより、消費の安定化や社会的な連帯感が高まり、持続可能な経済基盤が築くことが期待できます。一方で、過度な増税や規制、他国への支援などにより自国への還元率が低く、経済活動を制約する恐れもあります。
ハリス氏の政策は環境対策に非常に力を入れています。そのため、環境分野や自動車のEV関連の企業の成長を促進する可能性が高いです。また、経済成長も重視していますが、一番の優先事項は格差のない安定的な社会の実現です。特にトランプ氏の政策は米国の経済成長第一優先です。現在の相場はトランプ氏当選を織り込んでるため、ハリス氏が当選すると、大きく下落する可能性もあります。実際、賭けサイトのカルシでは、トランプ氏のリードが急低下しハリス氏の勝率が49%まで巻き返しました。その結果、ドル/円など為替市場や株式市場では下落が起こっています。ここ数日の相場はボラティリティが大きくなりそうですので注意が必要です。
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