財務状況から状況を判断する重要性
ヤマダホールディングスが発表したヤマダ積立預金ですが破格の利回り18%(ポイント含む)と元本保証への反響が大きく話題になっております。疑い深い私からすると何か裏があるのではないかと思い、キャンペーンの概要や特性、ヤマダの財務状況について調べていきましたので解説させていただきます。
ヤマダ積立預金とは
ヤマダネオバンク口座を開設者が月5000~50000円の積立額と期間である1年から3年を選択し積立預金することで、ポイントを含めて利回り18%以上を得ることができるキャンペーンになります。(ヤマダ積立預金の詳細開設は趣旨ではないので省きます)
ここでポイントなのは、ヤマダ電機は銀行代理として住信SBIネット銀行の口座を開設しているため、預金された現金はヤマダホールディング側は使用できないことを意味します。一方で、預金目的ではないことが分かりましたが、他に目的がないかを財務状況から考えることにしました。
ヤマダホールディングスのCF
このようなキャンペーンをする時は財務状況が怪しい可能性が考えられます。その中で、CFは半期報告書にのみ開示していました。その結果、営業CFが前年+131億円に対して今年は-59億円と大幅マイナス。さらには、財務CFも380億円以上増加していることが分かりました。特に、営業CFの大幅減少は棚卸資産の急増、つまり在庫過多により陥っていることがわかりました。
財務状況から分かること
現状のヤマダホールディングスは営業CFがないため、運転資金の獲得を目的として380億円を入手したことが分かります。ここで、ヤマダホールディングスが是が非でも実施しなければならないことは2点あります。
①将来的には380億の借入の返済が必要だが返済する現金が不足しているため、商品の購入を促し現金を手に入れる
②在庫過多なので整理する必要があるため、ポイントや値引きなどを使ってでも出来るだけ現金化する
ヤマダ積立預金のポイントの今後
①のように今回は大量の借金を返済するために現金を手に入れたい気持ちが強いため、今回のヤマダ積立預金のポイントで客を呼び込み売上をあげることが1つの目的です。言い換えれば、この目標が達成されればポイントが大幅に改悪(例えば一回で使えるポイント数や還元率の変更)されることが予想できます。そのため、長期運用は慎重になるべきと感じております。ただ、目的達成が遅れるほど改悪のタイミングは長く可能性もありますが、その場合、CFが不安定のままですので会社自体の経営が危ういことなります。
また、②の観点では多くの在庫を現金化することが目的です。そのため、今回のポイントで在庫を現金化してもらうことが狙いです。一方で、在庫過多の商品が消費者が欲しいものかは分かりません。今後、ヤマダ積立預金で得られるポイントが指定の商品(在庫過多品)のみしか適用出来ない改悪も十分にありえます。
さらなるリスク
現状のCFの状況が継続的に続けば会社の倒産もありえます。(確率は低いと思いますが、、) その場合、1000万円までは保証可能ですがポイント自体は全て使えなくなる、戻ってこなくなると考えるのが妥当です。ただ、まだ、半期報告の内容ですのでここから挽回する可能性もあります。むしろ、今回のヤマダ積立預金はまさに挽回するための一手と考えられます。
総括
現在、ヤマダホールディングスのCF状況は大幅に悪化しており、すぐに自由に使える現金がなくなった結果、運転資金のため、新たに380億円超の借金で現金を得ている状況です。借金返済の現金を補充に向け売上で現金を手に入れるため、今回のキャンペーンを起こなったと考えられます。つまり、財務状況が改善すればポイントは改悪、悪化したままだとそもそもポイントすらもらえなくなるリスクがあること。さらには、ヤマダ積立預金にお金を回している分、他の投資対象の機会損失となり相対的に損することも大いに考えられます。以上のことから、ポイントのみを目当てでヤマダ積立預金をするのは慎重になるべきと考えております。
また、有効期限が過ぎた未使用のポイントはヤマダ電機が管理し、供託金を保持しているという状況です。そのため、その供託金そのものが利益として計上されるため、会社にとっておいしい内容であることを理解しなければなりません、、