政治について考える
2024年10月27日の衆議院選挙の結果、与党が215議席と過半数を割る結果となりました。このまま自民党と公明党の与党の議席が過半数を満たさないと、どのようなことが起こるのでしょうか。政党の動きとそれに伴う市場の動きから解説をしていきます。
首相指名選挙
衆議院総選挙後、30日以内に首相指名選挙が行われます。与党、野党関係なく各政党は首相候補として自身の党の代表や有力な人物を推薦します。その後、衆議院、参議院のそれぞれで、過半数の票を獲得した候補が首相に指名されます。もし、一回目の投票で過半数を獲得する候補者がいなければ、上位2名による決選投票が行われます。決選投票でも過半数に達しない場合は、衆議院でさらに再投票が行われ首相を指名します。また、衆議院と参議院で異なる候補が指名された場合、憲法に基づき衆議院の決定が優先されます。
首相指名選挙までの動き
与党の議席が過半数割れになった今回、首相指名を確実なものにするため、自民党の実施したい政策を実現させるためには、議席を過半数以上確保しなければなりません。今後、以下の動きを取ることが考えられます。①与党が国民民主党や日本維新の会などと連立を組む。 ②与党が立憲民主党と大連立を組む。また、与党が連立をどことも組めない場合は以下の流れに移ります。③少数与党内閣を続ける。 ④野党の連立による政権交代。現に、石破氏は国民民主党に連立を持ちかけています。また、立憲民主党党首の野田氏は首相指名選挙で首相を勝ち取ると述べていますので、②は非現実的かもしれません。特に与党の動きとして①、③のどちらになるかが注目されます。その結果によって市場の動きが変わってくると考えられます。
連立政権
自民党が与党の議席を過半数以上にするには、野党から連立入りを打診する必要があります。そのため、国民民主党や日本維新の会が掲げる政策の実現の道筋を示していかなければなりません。例えば国民民主党は、税負担の軽減によって企業と働く人の収入を促す政策を掲げています。消費税や法人税の引き下げや給与所得者向けの控除を増やすことで国内の消費を拡大させ成長を促すことを重要視しています。また、財源の確保として社会保障の見直しも掲げています。全ての実現は難しいですが、今までの与党の政策に比べ、さらに消費が進み企業の収益が増えることが期待できるため、市場にはプラス要因となり、好感がもたれやすくなります。
一方で、国民民主党や日本維新の会は自民党への連立に対して現状は否定的です。政治とカネの影響で今回、自民党が大幅に議席を減らしたことから分かるように、国民のイメージは良くありません。もし、自民党と連立した場合、連立した党は、裏金問題のレッテルを貼られ国民の支持離れが考えられます。そのため、連立に対して後ろ向きな現状です。与党が誰とも連立できなかった場合、少数与党内閣として進めて行くことになります。
決定の遅延と求心力の低下
少数与党内閣となると、過半数の議席がないため予算案を始めとする国の意思決定に遅延が生じます。首相が掲げた政策が実行されないことが多く、支持率の低下や党内からの批判が増加し首相交代に繋がります。首相が頻繁に変わること、国内の決定が決まらないことで外交への時間とパワーが削られます。その結果、世界に対する日本の影響力がますます減っていきます。現に、米国は今回の与党の過半数割れに懸念を示しています。世界への求心力が低下した状況が続くと日本の成長が落ち込むと考えられるます。その結果、日本経済への期待が低くなり、株価などの下落に繋がっていきます。
今後の流れ
首相指名選挙までの自民党の動きとその内容によって市場が短期的にドラスティックになる可能性があります。国民民主党や維新の会などの成長路線の党との連立が決まれば市場は好感を示すでしょう。あくまでも、要因の1つですが、国民民主党への連立に向けた自民党の働きかけが報道され、日経平均は上昇しました。一方で、どことも連立出来ず少数与党になれば、日本の求心力の低下に嫌気をさし、市場に悪影響を与えることが考えられます。どちらにしても、今後の自民党の動きには注目です。ただし、これはあくまでも、期待先行の動きです。連立しても、上手く行かないことも考えられます。結果的に市場は嫌気をさし、下落相場に陥り可能性も十分にありえますので注意が必要です。また、国内だけではなく、今後の米大統領選も大きく関わってきますのでまだまだ落ち着かない相場になりそうです、、、
ではでは